「子供に人生のことを教えるというけれど、人生のことを教えてくれるのは子供たちだ」
9か月の子供を持つ母親にお話を聞きました。息子が困難なことを克服したりチャレンジや痛みを怖がらず進んだり、決してあきらめないことなどを通して成長している姿に学ばされ、自分も成長していると実感した経験を語ってくれました。
息子はまだ9か月しか生きていません。でも9か月で、息子はすごい速さで成長しています。
腕はむちむち肉がつきました。足にはかわいらしく「鳥のもも肉」というあだ名がついています。頬っぺたは落ちそうなくらいぷくっとしていて、顔全体はきれな桃の形です。こんなに小さな子供が、私に「人生は、より上を目指して励むこと」だと教えてくれました。
生まれてすぐ、息子を胸に抱いたのを思い出します。そのとき息子にできることと言ったら指で数えられるほどでした。息をする、眠る、うんちする、食べる、あくびする、そして目を開けて新しい世界をみわたすことくらいです。その時は一人でゲップもできなかったのですから。だからこそ彼が達成する一つ一つが、私たちにとって特別でした。目を開けてニコッと笑顔を見せてくれれば、みんなが寄ってきて話しかけました。口から見事なゲップが出るたび、私達は万歳!と大喜びでした。
数か月が経った頃、息子は見えてる世界をもう少し違う角度から見てみようと、「寝返り」に挑戦し始めたのです。最初は苦戦してしまいました。寝返る途中で腕がお腹につっかえてしまい、苦しそうでした。でも、彼はあきらめません。そしてついに一人で仰向けに返った瞬間、私たちは家族総出でお祝いしたのを覚えています。初めてうつ伏せに返ったときも同じでした。
しかし息子の挑戦はそこで終わりませんでした。次に彼が挑戦したのは、「座る」ことです。ところがこれは難易度の高い芸当です。何度も倒れては、頭や顔を床に打ってしまいます。痛くて泣きそうになった瞬間、ぐっとこらえてまた起き上がろうと挑戦するのです。長い戦いの末、ある程度バランスを取って座れるようになりました。彼はそのとき初めて横向きだった人が縦にまっすぐ見え、すぐ隣に自分のおもちゃやゴミをもった人が座っているのを発見したようでした。
「座る」ことを学んですぐ、彼はおもちゃが少し離れたところにあるのに気付きます。今度は、別の場所に移動する手段を学ばなければならなかったのです。彼はゆっくりと手を前に伸ばし始め、「ハイハイ」の練習に取りかかり始めました。やはり思うように動かない手足に苦労しますが、彼は練習に疲れ果てて倒れ込むまで、手を伸ばし続け足を動かし続けました。次第に毎日の特訓の成果が筋肉となって手足に現れてきたようです。今まで使ったことのない筋肉を得た彼は、少しずつ前へと進み始めました。最初のうちはイモムシが這いつくばっているようにしか見えませんでしたが、足がうまく後ろに回るようになると、手足で体を持ち上げられるようになりました。9か月の今になっては、彼は光のような速さで移動します。特にお姉ちゃんがテーブルからお菓子のかけらを落としたときなんかは。
しかし成長はこれで止まりません。彼は新世界に踏み出したようです。彼は最近、足の筋肉を強化するため、スクワットに励んでいます。今では一人で立つことができ、本人は誇らしく思っているようです。もちろん、それも苦労と痛みの結晶です。たくさん転んでたんこぶだらけになりました。今、彼は自分のお姉ちゃんやいとこのように、自由に歩き回ることを目指しています。そしていつか走り回ることも。
息子はいつも私を感動させ、突き動かしてくれます。彼がその生き様を通して教えてくれたのは、「人生とは、いつも次のステップ目指して努力し続けることだ」というものでした。息子は、何があってもあきらめず、いつも前を向いています。痛くて苦しいことにも、惜しみなく挑戦します。倒れる数だけまた起き上がってもう一度トライします。そして、そうしたプロセスの中で成長していきます。
私たちはときどき、自分が成し遂げたことや身に付けたことを見て、自己満足に浸ってしまいます。でも、こんなに小さい自分の息子でさえ困難に挑戦し続け、たった9か月で数えきれないほど多くを学び、心から喜びながら生きています。それを目の当たりにしたとき、自分ももし同じように「もっと学ぼう」「もっと成し遂げよう」という姿勢を持ち続けていたら、もっと大きなことができたはずだと思い知らされるのです。
彼の生き方は、兄弟たちにも影響を与えました。お兄ちゃんが、クラスのみんなの前で弟について発表したのです。「諦めないことと、ベストを尽くすことを弟から学びました。」そのおかげでお兄ちゃんの発表は先生やクラスから認められ、良い評価をもらったそうです。
9か月の赤ちゃんから学べることは、なんと偉大なことでしょう。
Recent Comments